地球温暖化関連情報

日本人はどこからどのくらいCO2を排出しているか?

PEARの考え方は、「まず実態を知りましょう。それからすべてがはじまります」というものです。あなた自身の排出量実態は、あなたのカーボンアカウントにおいて自らつくっていくものですが、日本人の平均がどうなっているか?を、用途別に見てみることにしましょう。

日本人の生活からの用途別一人あたりCO2排出量 (2006年度)
日本人の生活からの用途別一人あたりCO2排出量(2006年度)

このグラフは、わたしたち日本人の生活のさまざまな場面から出るCO2について、一人あたりの年間排出量の全国平均値を示すものです。

実際にわたしたち一人ひとりが排出するCO2の量は、住んでいる地域の気候条件、家族・世帯構成やその他の生活スタイルによってさまざまに異なりますから、このグラフは必ずしもあなた自身のCO2排出量の状況を反映したものではありません。しかし、日本という国に暮らすわたしたちが、社会全体として、日常生活の中のどのような場面でどれくらいのCO2を出しているのか、ということを知る目安にしていただくには、かなり有用なデータだと思っています。PEARの精神は、「まず実態を知る・把握するところからはじまる」というものです(PEARカーボンアカウントは、あなた自身の排出量を算定するツールであるわけです)。

グラフの右上に示されているように、2006年度における日本人一人あたりの生活からのCO2排出量は、2,375kg(約2.4トン)でした。大気上空での飛行機の排気ガス中に含まれるCO2以外のガスの地球温暖化への影響も考慮に入れると(RFI (radiative forcing index)補正)、一人あたりCO2排出量(正確には大気への負荷をCO2換算したもの)は2,532 kg相当と計算されます。これは、スギの木(35年生)をおよそ10本伐り倒して燃やしたときに出るCO2と同じくらいの量です。このうち、移動のために自家用車や公共交通機関を利用することによるCO2排出量(グラフの下4つ)は、全体の約4割程度を占めています。

グラフの上の4つは、冷暖房や給湯など、わたしたちが家庭で使う電気、ガス、灯油などから出るCO2排出量を示しています(もちろん電気使用からのCO2は直接には火力発電所で出ています)。古くからある照明、冷蔵庫、冷暖房機器などに加えて、「その他の家電/照明機器使用」からのCO2排出量が大きいのがわかります。これは温水洗浄便座、パソコン、携帯機器など、コンセントの電気を使う、ありとあらゆる機器を指しています。最近、家庭からのCO2排出量が増えている大きな原因となっています。機器の効率は上がってきているのですが...

グラフの中ほどの2つは、わたしたちが出したごみが焼却されることによって排出されるCO2や、わたしたちが使った水道水を作る過程で排出されたCO2を示します。

グラフの下の4つは、わたしたちが日々の移動のために利用している自家用車や公共交通機関からのCO2排出量です。マイカーが普及し、一家に2台ということも珍しくなくなった現在、ガソリン・軽油価格が最高値を更新しているにもかかわらず、自家用車の利用によるCO2排出量が630kgと特に大きく、移動によるCO2排出量全体約1トン(923kg、RFI補正値1,080 kg)の過半を占めています。一方、エネルギー効率がよい鉄道やバスの利用による排出量は、それぞれ55kg、29kgと、自家用車に比べればかなり少なくて済んでいるのが現状です(財布にも優しいというわけです)。

国内航空や国際航空は、実際には利用する人としない人がいますが、その区別をせずに全人口で平均をとると一人あたりCO2排出量はそれぞれ75kg、100kgと計算されます。これらは、飛行機の排気ガス中に含まれるCO2以外のガスの地球温暖化への影響も考慮に入れると(RFI補正)、それぞれ142kg、190kgのCO2排出量に相当します。

なお、国際航空からのCO2排出量は、海外旅行などで出国する人だけに限定して平均すると、一人一回あたり768kg(RFI補正値1,401kg)となります。海外への旅行がいかに大きなCO2排出量を伴うか、がおわかりいただけるでしょう。飛行機は実際は人によって利用状況が大きく異なります。その意味で、あまり平均値というものには意味がないかもしれません。ちなみに、成田~ロンドン間をエコノミークラスで往復すると、CO2排出量はRFI補正値で3,432kg (3.4トン)となります。座席スペースが広いビジネスクラスやファーストクラスを利用すると、責任をもつべき排出量はさらに大きくなります。なんと年間の排出量を大きく凌駕する負荷を一回の旅行でかけているのですね!(この大きさをキャンセルするには、カーボンオフセットしかありえません)

ご参考までに、国際航空からの排出量に関しては、気候変動枠組条約や京都議定書の下では、(すくなくとも現在は)その国の排出量として計上されないルールとなっています。したがって、日本の京都議定書目標達成という観点からは、その排出は無視できるわけです。でも、地球大気へは明らかに負荷をかけているわけです(それもかなり大きく)。PEARは、カーボンオフセットとは排出削減クレジットを失効させることと理解していて、それは日本の目標達成に使うこととはあきらかに異なるものです(両方は理論的にありえません)。ご自分が、日本の目標達成に寄与したいのか?あるいは地球の大気への負荷をキャンセルしたいのか?という違いは、国際フライトからの排出量をオフセットしたいと思うかどうか?という点で、判別できます。

さて、日本政府の公式な発表では、企業が工場で排出する分など、生活以外での排出量も含めた日本全体のCO2排出量は、2006年度に一人あたり9.97トンだったと報告されています(10トンです。覚えやすいですね)。したがって、日本のCO2排出量のうち、わたしたち一人ひとりが生活の中で直接出している分は、全体の1/4くらいだといえます。しかし、それは私たち一人ひとりの責任が日本全体の1/4に過ぎない、ということを必ずしも意味しません。このグラフには、わたしたちが日常生活の中で消費している食料や各種日用品を作ったり運んだりする際に出るCO2、つまりわたしたちが直接ではないけれど間接的に責任をもつCO2排出量が含まれていません。それらも含めると、日本のCO2排出量の半分以上はわたしたちの家庭生活に責任がある、という研究成果もあります。

カーボンオフセットに取り組むにあたり、自らの生活を振り返り自らのCO2排出量に思いを致すうえで、このグラフをご参考にしていただければ幸いです。

資料: 以下の資料をもとにPEAR作成。
◆ 国立環境研究所温室効果ガスインベントリオフィスのデータ(日本の温室効果ガスインベントリ(2008年5月16日公表)など)
◆ 国土交通省「航空輸送統計年報(平成18年度)」
◆ 法務省入国管理局「平成18年における外国人入国者及び日本人出国者の概況について(確定)」(2007年5月)
◆日本エネルギー経済研究所EDMC「エネルギー・経済統計要覧2008年版」

注:
◆「冷暖房」「給湯」「厨房(冷蔵庫/ガスコンロ等)」「その他の家電/照明機器使用」からのCO2排出量は、インベントリの民生(家庭)部門に計上された値を、日本エネルギー経済研究所・計量分析ユニット・家庭原単位マトリックスをもとに用途別に按分し、日本の人口で割った全国平均値である。
◆「一般廃棄物」からのCO2排出量は、インベントリの廃棄物(一般廃棄物)部門で計上された値を日本の人口で割った全国平均値である。なお、一般廃棄物は非バイオマス起源のみを対象とし、事業系一般廃棄物を含む。
◆「水道」からのCO2排出量は、上水道の利用に伴う排出量の全国平均値である。
◆「自動車」からのCO2排出量は、インベントリの運輸(旅客)部門の自家用乗用車(家計寄与分)で計上された値を、日本の人口で割った全国平均値である。
◆「鉄道・バス・タクシー」からのCO2排出量は、インベントリの運輸(旅客)部門の鉄道、バス(営業用)、営業用乗用車/タクシーのそれぞれに計上された値を、日本の人口で割った全国平均値である。
◆「国内航空」からのCO2排出量は、日本のインベントリの運輸(旅客)部門の航空に計上された値を、日本の人口で割った全国平均値である。さらに、CO2以外のガスが高度上空で排出されることによる温暖化の影響を考慮に入れるため、放射強制力インデックス(RFI)による補正計算をした場合の増加分も示している(英国DEFRAのカーボンオフセットに関するコードの推薦値であるRFI=1.9を適用した)。
◆「国際航空」からのCO2排出量は、インベントリの外数として報告された国際バンカー油(航空機)起源の排出量データをもとにPEARが推計した値である。航空統計年報や法務省入国管理局資料を用いて、国際バンカー油起源排出量のうち日本人旅客の日本-外国間輸送分に相当する割合を推計し、さらに日本の人口で割ることで全国平均値を算出した。さらに、CO2以外のガスが高度上空で排出されることによる温暖化の影響を考慮に入れるため、放射強制力インデックス(RFI)による補正計算をした場合の増加分も示している(RFI=1.9を適用した)。なお、この値は、日本発着の航空機の排出量のみを含むものであり、日本人旅客の外国間移動分は含んでいない。
◆「国際航空」からのCO2排出量については、全国平均(全人口平均)のみならず、出国者平均も試算して[参考]としてグラフ中に示した。
◆ 船舶利用(旅客)からの排出量に関しては,利用ニーズがかなり限定的であると思われるため、個々人が自分たちの「実態を把握する」という目的において平均化することの意味を考え、ここでは省略した。