用語集

地球温暖化の科学に関する用語 国際制度に関する用語排出権取引制度に関する用語
GHG削減プロジェクトに関する用語カーボンオフセットに関する用語

▼地球温暖化の科学に関する用語

地球温暖化(global warming)と気候変動(climate change)

地球規模で起こる温暖化の結果として、地球の気候が(地域的に)変化します。気候変動問題と地球温暖化問題とは同じ問題を意味します。一般に、気候変動とは、単に「平均」気温が上昇していくだけでなく、異常気象が異常でなくなる(頻度や規模が大きくなる)という形で現れてきます。海洋の大循環が弱まるなどの結果、不連続・不可逆で取り返しの付かないような大きな事象が起きる可能性も指摘されています。
起きている異常気象に対し、人間の排出する温室効果ガスに起因する部分を正確に分離することは困難でありますが、現実問題として、異常気象が社会に与える影響は、加速度的に大きくなってきていています(もっとも気候変動問題に敏感な業界は再保険業界)。人間の気候変動問題への対応は、緩和(mitigation)=排出削減+吸収拡大と、適応(adaptation) に分類されます。

GHGs : 温室効果ガス(greenhouse gases)

地球温暖化をもたらすガス。地表面および海表面から放射される約15℃の赤外線を吸収します(水蒸気が吸収しない部分に吸収帯を持ちます)。京都議定書の下では、人為的起源となる6種類(CO2、CH4、N2O、PFCs、HFCs、SF6)が規制対象となっています。その他、フロン(CFCs)なども大きな温室効果を持ちますが、モントリオール議定書で規制されているため、気候変動枠組条約や京都議定書では規制対象となっていません。

CO2 (二酸化炭素): 排出量と濃度

CO2は、放射強制力(地球温暖化への寄与)という意味で、最大の効果を持つ温室効果ガス(他のGHGsに比較して圧倒的に大きな排出量があるためです)。現代文明を支える化石燃料を燃焼させた場合、かならず排出されるため、温暖化問題は、エネルギー問題、文明論的問題と言うこともできます。化石燃料燃焼以外には、セメント生産からの排出量が大きい。
普段扱う概念は「年間のCO2排出量」というフローの概念ですが、その約半分が大気中にトラップされ、それが「大気中CO2濃度」(ストック)として、温室効果に寄与することになります。

IPCC (気候変動に関する政府間パネル)

1988年、地球温暖化問題に対する科学的知見を集積する目的で、UNEP、WMOの下に設立。世界の科学者が集められ、政策担当者に向けての現状での科学的知見に関する評価報告書を作成することを主目的としています。2007年には、第4次評価報告書が作成。その他、特別報告書などの作成やUNFCCCからの要請に応えるなどの仕事も行います。組織的には、3つのWG(気候科学、影響と適応、緩和措置)と、GHGインベントリータスクフォースに分かれます。2007年にはアル・ゴア氏とともにノーベル平和賞を受賞。

SPM (Summary for Policy Makers; 政策担当者のためのサマリー)

IPCCの報告書のサマリー。あくまで「政策担当者」に対する科学の面からのインプットというIPCC本来の目的を表しています。

▼国際制度に関する用語

国連気候変動枠組条約 (UNFCCC)

気候変動問題(地球温暖化問題)へ取り組むために、1992年リオの地球サミットにおいて調印された国際条約。1994年発効。現在、188か国が批准しています。京都議定書の親条約。究極の目的(GHGs濃度安定化)、共通だが差異のある責任、経済効率性、予防原則、持続可能な発展などの、対策のベースとなる概念を打ち立てました。毎年開催される締約国会議(COP)の下で、国際枠組みを運用・形成するベースとなっています。

京都議定書 (Kyoto Protocol)

気候変動枠組条約の下での条約。正式には、Kyoto Protocol to the United Nations Framework Convention on Climate Change.先進各国に排出数値目標を課したことと、市場を活用したいわゆる京都メカニズムを導入し、ビジネスセクターが主役となる道を拓いたことが重要。一般には、環境問題における議定書は、強化・改正されていく方向性にあります。気候変動枠組条約が提供する枠組をベースに、温暖化問題への取り組みへの第一歩としての位置づけ。

締約国会議 (COP)、締約国会合(MOP)

条約の最高議決機関で、すべての重要な決定は、COPで、基本的にはコンセンサスベースで行われます。毎年、ほぼ二週間の会期で、世界の5地域持ち回りで開催されることになっています(年末であることが多い)。ベルリンのCOP 1、京都のCOP 3、ボンのCOP 6再開会合、マラケシュでのCOP 7がマイルストーンでした。2007年12月には、COP 13がインドネシアのバリで開催。なお、京都議定書の締約国会合は、COP/MOPと呼ばれ、COPの会期の二週間の中で行われます。

数値目標とマイナス6%

京都議定書の下で、先進国に課せられた数値目標。議定書では第3条およびAnnex Bに規定されています。各国で差異化されていますが、過去の実績をベースにもしています。交渉過程においてはいくつかの数式で表すようなものも考えられましたが、最終的には個別交渉によるものとなりました。言い換えると、各国が受け入れられる最大の(もっとも厳しい)数字を出したものといえます。数値目標×5年分がその国の「持ち分」として、AAUsというユニットの形で、その国の保有口座に事前に発行されます。日本の目標は基準年排出量の94%であるため、マイナス6%と表現されることが多い。なお、日本の基準年は、CO2/CH4/N2Oに関しては1990年、HFCs/PFCs/SF6に関しては1995年となっています。

約束期間 (コミットメント期)

京都議定書の目標期間。第1約束期間は、2008~2012年の5年間。第2約束期間に関しては決められていませんが、続く5年間から10年間と考えている人が多いようです(京都議定書は、第2期も存在することが前提。2012年で終わりではありません)。

京都メカニズム (Kyoto mechanisms)

排出権取引(排出量取引)、共同実施、クリーン開発メカニズム(CDM)の総称。低コストオプションを実現化するため、市場を活用することを意図しています。これらの導入には、米国クリントン政権の意向が強くはたらきました。これらが導入されたため、多くの国はより厳しい目標にコミットできたということもあります。時期尚早、準備不足という色彩が濃かったことは否めませんが、これらの運用にあたっての制度的インフラのベースは、マラケシュアコードで提供されたことになります。

将来枠組みとAWG

2013年以降の国際的枠組みがどうなるかが大きな関心を集めています。先進国に関しては、既存の京都議定書の枠組みが継続することを前提に、AWG(アドホックワーキンググループ)での国際交渉が行われてきています。発展途上国の扱いはまだ不透明であるが、もうひとつのAWGで国際交渉が動き出していて、先進国への京都議定書による規制とは別トラックとなる可能性が高いと思われます。2007年に相次いで行われたハイリゲンダムG8サミットをはじめとするハイレベル会合では、国連の枠組みである気候変動枠組条約をベースに枠組みが形成されることが確認されています。2009年からの米国の次期政権の動向が注目されますが、ブッシュ政権の温暖化政策とは異なり、ほぼすべての大統領候補が、排出権市場を重視した政策を提唱しています。
なお、2050年の目標水準として、温室効果ガスをグローバルに半減しようという政治的意向に関する方向性ができつつあるようです。2009年の洞爺湖G8サミットでは、ハイリゲンダムをさらに推し進めた形のコンセンサスが形成される可能性が高いでしょう。

GHGインベントリー

(各国から)どれだけGHGsをどの部門から排出および吸収しているかを表した目録(インベントリー)。まず、それぞれの国で、どこからどのようなガスがどれだけ出ているか?を把握するところからすべては始まる、という認識の下、気候変動枠組条約でその作成が義務化されました。
IPCCの1996年ガイドライン、Good Practice Guidance Report、2006年ガイドラインに、その算定のための方法論が記載されています。特に附属書I国は、毎年、GHGインベントリーを提出しなければならず、これが京都議定書の数値目標システムが機能するベースとなっています。

▼排出権取引制度に関する用語

排出権取引制度

排出権取引制度は、排出削減の「分業」を許す制度。すなわち、他者の削減分を、自分の削減分としてカウントできることを保証します。温室効果ガスは世界のどこで排出されても効果は同じであるため、科学的におかしなことをしているわけではありません。「排出権」は、ふつうは一種の排出規制制度があってはじめて「定義」されます。「希少価値」を、規制という形で設定し、それを取引可能にすることで、市場価値を創造することを意味しています。排出削減をすればするほど儲かるスキームということで、市場経済の原理を、(それまで市場経済の外部にあった)環境保全のために内部化しようとするもの。きちんとした「遵守システム」があってはじめて市場が機能するため、市場の方向性と環境の方向性が一致していると言えます。
京都議定書に排出権取引制度導入を主張したのは、ほかならぬ米国であったことは注目されます。

排出権市場

排出権の市場で、現在ではさまざまな排出権が存在します。日本が関係するのは、京都議定書の下で定義された排出権であるAAU,RMU,ERU,CER.
市場構造は規制枠組みのありかたで決まるため、単純ではありません。
排出権価格も、規制動向、排出動向およびそれを左右する様々な要因によって、変動することになります。

キャップ・アンド・トレード型排出権取引制度

規制当局が、対象となる主体(たとえば企業の事業所)に対し、排出権(アローワンスと呼ばれます)の割当を行って(=排出目標を設定して)、期末に実際の排出した分相当の排出権を所持していることが求める制度。割当は無償で行われることが多く、これが同じような経済的手法である炭素税と大きく異なります。排出権は最初に配布されるため、すぐにでも現物の取引が可能となり、流動的な市場形成が可能となります。
全排出源で排出できる総枠を最初に決めることも多い(類似の漁獲権取引のケースでは、魚の再生可能な資源量などの科学的判断で設定)。

EU排出権取引制度 (EU ETS)

欧州で2005年より実施されているキャップ・アンド・トレード型域内CO2排出権取引制度。現在では27か国がカバーされています。域内の事業所からの排出量が対象。日量数百万トンの取引のなされる最大の排出権市場となっていて、情報誌などでも、日々の排出権価格が記載されています。
2008年からは京都議定書のスキームとリンクしてきますが、他に大きな排出権市場がないため、たとえばCDMのクレジット価格などは、EUアローワンス(排出権)価格の影響を大きく受けます。

▼GHG削減プロジェクトに関する用語

CDM(クリーン開発メカニズム)

議定書第12条に規定されたメカニズムで、附属書I国(先進国)が非附属書I国(発展途上国)においてともに行う排出削減・吸収拡大プロジェクト。排出削減分がクレジットCERsとして生成され、附属書I国がそれを数値目標遵守に用いることができる。加えて、ホスト国の持続可能な発展に資することに対するホスト国政府によるスクリーニングがある(実態はネガティブチャックのみ)。
現在、監督機関であるCDM理事会の下で、数多くのプロジェクトが実施され、現在公表されているプロジェクトだけからでも、2012年末までに22億トン程度のCERが生成されることが予想されています。

JI(共同実施)

議定書第6条の活動のこと。附属書I国(先進国)が他の附属書I国(特に経済移行国の場合が多い)においてGHG排出削減・吸収拡大プロジェクトを行い、その削減分の一部を移転するメカニズム。2008年からの削減分をカウントできます。JIクレジットは、ERUと呼ばれています。

CER (CDMクレジット)、ERU (JIクレジット)

京都議定書の下の排出権の一種で、それぞれ、CDMのクレジット、および共同実施のクレジット。
Certified Emission Reduction, Emission Reduction Unitの略。

VER(Verified/Voluntary Emission Reduction)

規制枠組みに属しない「自主的に」排出削減プロジェクトを実施したときに主張される排出削減量。日本はなじみが薄いですが、欧米では、VERをもちいてカーボンオフセットが行われてきました。一般にはCERなどより価格は安いものの、同時に排出削減の量的な信頼性が甘くなりがちです。

追加性・追加的な削減

プロジェクトからの削減量を定義する上で非常に重要な概念。プロジェクトが「削減」をもたらすためには、それがビジネス・アズ・ユージュアル型=いずれにせよ実施されていたようなプロジェクトではなりません。すなわち、クレジットが販売できるからこそ実施されるタイプである必要性があります。あるいは、大きなバリアがあって実現化が難しいところ、CDMのおかげで、そのバリアを乗り越えることができた…と論証できなければなりません。

ベースライン

そのプロジェクトがなかりせば、という状態を表すシナリオ。排出削減量とは、「ベースライン排出量」マイナス「実際のプロジェクトからの排出量」という形で定義されます。プロジェクトバウンダリー内(場合によっては外も)のすべての効果を考える必要があります。このシナリオの妥当性のチェックが、第三者機関のバリデーション審査時の重要な仕事となります。ベースライン設定は、社会条件、技術要件、各GHGに関する知識などを要するかなりの専門性を有する作業となります。

プロジェクトのバリデーション

プロジェクトの審査には、事前審査と事後審査があります。事前審査のことをバリデーションと呼ぶことが多い(CDMの用語)。CDMの場合、それが確かにCDMプロジェクトでとして認めてよいか?という点を、認定された資格を持つ第三者機関が審査を行い、これをバリデーションと呼びます。またその結果は、CDM理事会によって、チェックされます。このように、CDMはかなりのコスト、専門性や時間をつかった審査プロセスを導入することによって、排出削減量の信頼性を確保しようとしています。

第三者検証

プロジェクトの事後審査のこと。プロジェクトが開始されてから、プロジェクト実施者は定期的に排出量その他のモニタリングを行い、排出削減量を計算されます。それを、認定された第三者が、正しいかどうかの審査を行い、それを検証と呼びます。CDMの場合、第三者検証が行われ、それをCDM理事会が認めて初めて、CER(CDMクレジット)が発行されるという厳しいプロセスが導入されています。

植林プロジェクト

植林活動は、たしかにCO2を固定しますが、それがいつまでも固定し続けることを保証することはかなり難しい。したがって、「木を植えた」行為を削減した、あるいは削減するはず、と、短絡的に主張することは危険です。
CDMでは、クレジットに有効期限を設けるなどの方法でこの問題に対処しています。その一方で、植林プロジェクトには、現地住民の便益が大きいコベネフィッツ型であるものが多くあります。

コベネフィッツ型・マルチ便益型プロジェクト

温室効果ガス排出削減という便益だけでなく、その他の便益がある(多い)ものを、コベネフィッツ(あるいはマルチ便益)型プロジェクトと呼びます。ただ、「その他の」便益は、排出権市場で評価されていない(ものが多い)ため、このようなプロジェクトはけっして多くはありません。
PEARは、とくにこのようなプロジェクトに特化した排出削減量を、オフセットしようとする消費者に提供いたします。

▼カーボンオフセットに関する用語

カーボンオフセット

カーボンオフセットとは、自分の出した温室効果ガス排出量(プラス分)を、他者の排出削減分(マイナス分)を利用して相殺(オフセット)することを表します。入手した排出削減クレジットは、失効させる(もはや誰も使えなくする)ことによって、たしかにその分が削減されることになるわけです。その意味では、クレジットを日本政府に提供するのであれば、(すくなくとも狭義の意味では)カーボンオフセットとはなりません。
PEARは、この二つの異なった考え方を明確に区別し、通常は狭義の意味でカーボンオフセットという言葉を用いることとしています。

カーボンフットプリント

自己の排出量を「足跡」にみたて、カーボンフットプリントと呼ぶことがあります。この「足跡」を消す行為が(狭義の)カーボンオフセットそのものです。

カーボンニュートラル、カーボンフリー

自己の(ある活動からの)CO2排出量を100%オフセットする場合、その状態をカーボンニュートラルあるいはカーボンフリーと呼びます。カーボンオフセットはあくまで自主的な行為であるため、PEARでは、オフセット率を選択できるようにしています。これが100%を超えたら、それは植物のようなCO2を減らしていく活動となったことを意味しています。

カーボンマネージメントとカーボンアカウント

気候変動枠組条約が、まず各国が自国の排出量をきちんと把握することからはじめるべき、としたのと同様に、PEARは、個々人の生活を低CO2型にシフトしていくためには、自分のそれぞれの活動から、どれだけのCO2が出ているか?をきちんと把握することが、まず重要であると考えています。
そのような「可視化」が行われることで、個々人の行動に変化があらわれ、それが継続することが期待できます。加えて、PEARでは、その消費活動からのCO2をオフセットすることも削減のオプションとなります。
そのようなプラットフォームをPEARカーボンアカウントと呼び、それを用いて自分のCO2排出量を管理するプラクティスを、カーボンマネジメントと呼びます。これが市民のプラクティスとして普及することが、PEARの目指すところでもあります。